アメリカを支える徹底した「民尊官卑」 2
しかし、起草者の問でもっとももめたのは、国の統括につきものの1つの矛盾をどうするかでした。
つまり、独立戦争後いやというほど見せつけられたように、おのおのの州、町、そして村落などの自治体の権限を野放しにしておくと、国としてバラバラになり、各州間で利害の衝突が絶えません。
それだからといって、連邦政府など中央政府の権力を放置しておくと、これが肥大して、英欧の国王や中央官僚のように、エリートの権力の乱用が激しくなり、国民が苦しみます。
この矛盾の解決は巧妙に仕組まれました。
各州に州の自治を守るために司法、行政、立法の独自の大幅な権限を与える代償として、各州に共通の利害、つまり1国としての外交、軍事、通過の発行と管理、そして州際間の商業、通信、運輸の管轄権は連邦の司法、行政、立法の専有権限としました。
そして、司法、行政、立法の三権分立を土台とするだけでなく、連邦と州の間、また連邦三権の相互間にチェック・アンド・バランス(相互監視と牽制)の機能を働かせるために、各種の政治権限を分割して、一つの目的遂行のために少なくとも複数の機関が争い合う仕組みをつくりました。
中央権力をできるだけ押え込むために、連邦でも各州でも、官僚の政策づくりと実施の権限をできるだけ少なくしました。
官僚の仕事は、連邦や州議会が立法化した政策を、それもできるだけ明確に定められた官僚の施行権限に沿って実施することとされました。
徹底した民尊官卑の実現でした。