もしも願いがかなうなら… 2
娘の淳子が、小学校一年生のときに書いた日記です。
六年前の冬、夫は自殺しました。
当時、娘は一歳。
息子は三歳でした。
夫はロボットではありませんでした。
紛れもなく"人"でした。
それも、とても人間的な"人"でした。
人は眠り、食べ、排泄し、理性で感情をコントロールしえてこそ"人"だと思います。
夫は人としての自分に気づいたとき、人としての雄叫びをあげて自らの命を絶ったのです。
一九八三年夏、私たち一家は、長野県岡谷市から、北アルプスのふもとの安曇野へやってきました。
(株)サンコーのプレス課に勤める夫の転勤についての引っ越しでした。
夫は堀金村に新設されたばかりの工場に、大型プレス部品製造の数少ない熟練工として着任したのです。
導入機械の選定から工場のレイアウトまで任されていました。
夫は、「新しい工場を早く軌道にのせるのだ。
自分が会社を作っていくのだ」という熱意と意気込みに満ちていました。
バリバリ働く夫の姿は魅力的でさえありました。
私は目前に二度目の出産を控え、家中が希望に満ちた生活のスタートでした。
まさに、これから!という状態ですよね。希望で一杯だったかと思います。