暑いときにはナシ!2
商品、売り物と名が付けば世の常というものだ。
ナシもまた、果汁糖分の多い少ないで値段がついているのではないからである。
極端な事例だが、需要があれば、店の床にごんころこんと落としても軽傷で済むような未熟果に、高い値段がついていることもある。
勤めていた研究室で、ナシの花 種の栽培を重点課題に取り上げた期間があった。
これがきっかけで、買って食べる人たちの間に出ている幸水の評判に興味を持ったことがある。
品種固有の風味が出た幸水は、二十世紀のように軟らかでおいしいナシだ。
でも、幸水であったらどれでもすべておいしいかというと、そうはいえない。
栽培の勉強不足、ナシ園の手入れ不足、反対に手抜き、商才の出過ぎなどでできた品質の悪い二流品も、売り買いの場ではみな幸水だ。
ある産地の直売所で、試食品にむらがっていたご婦人方が、これはおいしいと口々にいっているのを買ってきた時の話をしよう。