もしも願いがかなうなら… 5
まさか、それが現実になるなんて、夢にも思わず。
秋。
夫は、「上司の方針についていけない。
もう、これ以上は働けないんだ」ともらし始めました。
たまに早く帰宅して十一時ごろ寝ていると、上司から電話がかかり、「工場の戸締まりが心配だから見てきてほしい」など、夜中に起こされて会社へ行くことも何度かありました。
そのころから、朝、胃が痛い、頭が痛いと、苦虫を噛みつぶしたような不機嫌な顔で起きてくるようになりました。
私のといかけにも返事をせず、独り言を言うこともあり、活気がまったくなくなってしまいました。
私たちは、正常な生活をとり戻すには、もう、会社を辞めるしかない、という結論を出していました。
でも、意思とは反対に、夫は班長に昇格してしまいました。
会社ではトイレにも自由に行けないほどの忙しさでした。
昼休みも返上で、三時か四時に冷えきったお弁当を一人で食べる十分か十五分だけが、唯一の休憩時間だったそうです。
夜は眠れなくなり、眠っても機械に追いかけまわされる怖い夢を見て、うなされます。
機械に追い掛け回される夢って、なんとなく、チャップリンの映画みたいな感じなのでしょうか?